「あーだるっ」

7月。
今の世界は地球温暖化のせいか
とてつもなく暑い。

しかもこの学校にはクーラーなんて豪華なものないから教室の空気が
どよ~ん
としてる。

私の名前は
柳崎 岬(りゅうざき みさき)
高校1年。

「みーさーきー」

私の名前をこの蒸し暑い中呼ぶのは、
幼稚園時代からの親友、桜井 凛華(さくらい りんか)だ。

「なに?」
「あついんですけど」
「知ってるんですけど」
「それも知ってるーーーーーーーーーっ!あっついなぁもう!」
「ますます暑くなるからやめいっ」

そう言いながら、私たちは溶けるように机にうつぶせになる。
くそ~
机まで暑いんですがっっっ
でも起き上がる気力すらでねぇよ…。



ゴンッ



「痛ッ」

いきなり頭になにか硬いものがぶつかった。
自然にうつぶせになっていた頭が起き上がる。

「んー?どうしたの?岬」
「なんか頭に降って来た!うっざ、誰だよ!?」
私は重い体を起こし、立ちあがってそう言った。
まったく、この暑い時に…。


「ごめんって~柳崎~」


後ろから男前な声が聞こえてきた。
いや、こいつには男前なんて言葉もったいないか。
「いやーさ、野球ごっこしてたんだよ。んで、俺が最強だからホームラン場所のお前の頭まで飛んでっちゃってさ…あは☆」
「あは☆じゃないし!てか、なんであたしの頭がホームランの場所なんだよッ」
「…でかいから??」
「…ぶっ殺す!!!」
「きゃー暴力反対ーッ」

この陽気な性格な男は、
溝呂木 棗(みぞろぎ なつめ)
顔はいいし、スポーツ万能だし、頭は…普通だけど、
おもしろい性格をしてる。
だから当然モテるわけであって…。
私もひそかに好きだったりして。
でもそんなこと誰にも言ったことない。
私が溝呂木を好きだなんて。
言えるわけがないんだ。



だって、
棗は。