「あっそ、名前は?」

「なんで?」

「いいから」


なにこれ

新手のナンパ?


どれだけ相手が格好良いからって、あたしは軽々しく名乗るような女じゃない。



「…あんたから名乗ってよ」


あたしは強く握られた手を振り払った。

…けど、彼は手を離さなかった。



「俺は、川瀬 潤(カワセ ジュン)」


何の抵抗も無く、彼は口を開いた。