「知らない」

「今日学校休みじゃないでしょ。何でここで降りようとしてんの?」


あたしの右手は掴まれたまま。

他の客の視線が痛かった。


ていうか、何であたし知らないおじさんに説教されてんだろ。

おじさんっていっても、20代前半なんだろうな。


こんなに頭ボサボサで、

服もジャージだし、

顔良くても勿体無い。



「彼氏んち。それだけ」


真っ直ぐに見られて、嘘をつくことは出来なかった。