<やられたっ!>


凛の完敗だった。


目の前にいる葵は数年前より逞しく

自信に満ち溢れていた。


凛はふっとため息をつき

しげしげと葵を見上げた。


「確かに絶品だわ!

貴方の料理は・・・。

こんなに素敵なお店

取材が殺到するでしょう?

うちの取材を受けてくれて

ありがとう!」


「いや、今までもこれからも

取材を受けることはないよ。

口コミで来てくれるお客さんで

十分だから・・・

その人達を大切にしたいんだ。

君だから受けたんだよ。

是非ランチに招待したかったからね」


少し大人になった葵の

精一杯の凛への愛情だった。


「聖哉を連れておいでよ。

今夜、ここでパーテイーをするんだ

親しい人だけを集めて・・・

君達の席はとってある。

来てくれるね?」