凛は古い記憶をたどった。

聖哉を連れて会いに行った時だ。


「お兄ちゃんはどんな食べ物が好き?」


「う~ん、何だろうね?

お母さんに作ってもらった事ないから

聖哉君は・・・?」


「僕はね、

お母さんのオムライスが大好きだよ!

すっごく美味しくて

卵の上に赤いハートが3つあるの。

元気もりもりになるから

お兄ちゃんも今度食べにおいでよ!」


そう言ってまだ生え揃わない歯を

見せて笑った。


その事を葵はずっと忘れなかった。


一緒にオムライスを食べるという

聖哉との約束を・・・