二日後、凛は

午前の仕事を早々と済ませ

あの店に向かった。

理恵は他の仕事で来れなくなり

「残念です~!

頑張っていっぱい

写真も撮ってきてくださいね~!

できれば、

イケメンシェフの電話番号も!」


「何言ってんの!

仕事よ。仕事!」


そう蹴散らして出てきた。


1時前に着いた。

夜見た時とは打って変わって

ひっそりと住宅街の木々の間に建つ

その風貌は質素で上品で

そのたたずまいは

いつか雑誌で見た

南欧の田舎町を思わせた。


オーナーの趣味の良さが伺えた。


ゆっくりとドアを引くと

青銅の鐘がカランコロンと鳴った。


その静けさに、一瞬

仕事を忘れてしまいそうだった。