お会計の時に

「本当に今日は

良い誕生日をしてあげることが

できました。

ありがとうございました。」


と、言った。


「それは良かったです。

喜んで頂いて・・・

また、お越しください。」


礼儀正しく上品な初老の男は

深々とお辞儀をした。


凛は取材のことを思い出し

名刺を取り出した。


「実は、私はこういう者でして。

今日はプライベートなんですが

後日このお店の取材をさせて

頂けたら嬉しいんですが・・」


「わかりました。

オーナーに聞いてご連絡します。」

その男は上野と書いた名刺をくれた。


凛は心の中で

この店にしようと決めていた。


それほどにここは暖かく

味も絶品だったのだ。

何より雰囲気が素晴らしかった。

できれば、不特定多数の人間に

教えたくないくらいに・・・