忙しさを理由に

会いに行く勇気がないまま

アッという間に半年がたった。


凛は27になった。

今は編集長の右腕としての

キャリアも積んでいた。


「島本ちゃ~ん!

昨日も徹夜だったのね?

お疲れ様~!

でも、もうひと踏ん張りして。

今週締め切りの号にボツが出たの

どうしても埋めてもらわなきゃ!

春に好評だった<食>特集で

頼んだからねっ!」


編集長の激が飛ぶ。

ここは女ばかりの職場だ。

子持ちの人も多いから

いつもなら無理も聞いてもらえる。


「え~~??

これから聖哉のお迎えなんですけどっ

今日は早く帰るって約束で~!」


凛が甲高く悲鳴をあげた。