実麗は思わず

美恵子を暖めてあげたい、と

そう思った。


光が泣き腫らした目で

心配そうにこっちを見ていた。


きっと、あの人だって

そうしたいに違いない・・・


だってお母さんだもの。


その時、陽南子が

実麗の肩にかけていた手を

ぐっと抱き寄せ実麗の口に

キスをしてきた。


実麗は陽南子を初めて

抱いてもらった時の美恵子を

思い出した。


「これは、お婆ちゃんからの

約束のキスよ。

きっと幸せに・・・」


実麗は、その時の美恵子を

浮かべながら美恵子の頬に

そっと口づけた。


「お母さん、約束します。

みんなが幸せになるように

貴方の分まで生きる事を・・・」


それは、美恵子の肉体に記した

実麗からの最後の約束のキスだった。