「もう少し、

もう少し生きていてほしかった

もっといっぱい陽南子を

抱かせてあげたかった。

そして成長を見てほしかった。

ごめんなさい・・・

何の親孝行もできずに・・・」


陽南子が美恵子の頬を

小さな手で触ろうとした。


美恵子はいつものように

微笑んでいるように見えたが

その口元は動かない。


「陽南ちゃん、だめよ。

ばあばはね・・・」


言葉が詰まって陽南子の手を

そっと外し実麗は自分の手で

美恵子の顔に触れた。


抱いている陽南子の体温が

体中に伝わるだけに

美恵子の頬はぞっとする程

冷たかった。