その年の秋、

美恵子は急な心臓発作で

この世を去った。


陽南子が一歳になるのを

待たずに・・・


クリスチャンだった美恵子の

葬儀は教会で行われた。


お金をかけないでという遺言の通り

身内と近しい友人だけで質素に・・・


ただ間宮の計らいで

美恵子の祭壇は

数百本のひまわりで飾られ

それはさながら輝く真夏の陽が

差し込むような明るさだった。



一人一人が一本ずつ

ひまわりを棺に手向けた。


実麗は陽南子を抱きながら

美恵子に最後のお別れをした。


美恵子の顔は穏やかで

この世のすべての苦悩やしがらみを

超えて美しく厳かに見えた。