「私も、婚約者を裏切って

光君を選んだから

偉そうな事は言えないけど・・

いつか貴方の気持ちが収まったら

光君に会ってほしい。

私達ずっと待ってるから・・・」


実麗は振り絞るような声で言った。


無言のまま

朝の海岸を後にして

葵は車に乗り込んだ。


暫く黙っていた葵が口を開いた。


「俺、今から警察に行く。

送ってくれる?」


「わかった。」


葵を送り届けて

ホッとした実麗は車の中で

溢れる涙を拭おうともせずに

ひとしきり泣いた。


<これで、よかったんだろうか?>


結末なんて見えなかった。

ただ・・・

伝えたい事だけは伝えた。


後は葵に任せるほかはない。


間宮に葵が見つかった事を知らせ

光の待つ病院に向かった。