「お見舞いに行った時

光君のお母さんに聞いたの。

葵君のお母さんは

貴方を引き取ろうと

何度もお家に行ったそうよ。

でも・・・

お婆ちゃんが許さなかったって

お父さんが亡くなってからも

たった一人の孫を渡せないって。

お婆ちゃんのお葬式の時

お母さんはこっそり貴方を

見に来て、叶野さんに

貴方のへその緒を預けて行ったって

あの子が大きくなったら

私がここに来た事を伝えてほしい

私を忘れないでほしいからって・・・

そう泣きながら頼んだって」


「そんな事、聞いてない!」


「叶野さんは、叶野さんで

貴方を傷つけたくなかったのよ

幼い貴方に言っても

動揺するだけだから・・・」


「俺はずっと母さんを

待ってたんだ!」


葵の目が真っ赤になっていた。