「生きてると辛い事

理不尽な事いっぱいあるけど

変わらないものがあるって事

伝えたかったの。」


「変わらないもの・・?」


「そう。

自分では気づかないけど

自分を愛してくれる

人達の気持ちとか・・・

葵君の近くにも

きっとあるのよ。

この海みたいに・・・」


葵は父の顔を思い浮かべた。

そして、母の・・・


「でも俺は母さんを知らない。」


実麗は大きく息を吸い込み

悲しそうな目をした葵を見た。


ストレートの髪が

ゆらゆらと葵の横顔を撫でた。


「これは、

他人の私が言っていいかどうか

わからないけど・・・」