「海、初めて?」


「小さい頃、潮干狩りに来たよ

でも近所のおばさん家族と・・」


「そう?

海、いいでしょう?

私は、大好き。落ち着くの」


「俺は、あんまり好きじゃなかった

けど・・・いいね。

誰もいなくて静かで・・」


「私も小さい頃から

嫌な事があると海を見に来た。

海の近くで育ったの。

こんなお洒落な海じゃないけど」


「そうなんだ・・」


「うん。

そこで初めて光君と出会ったの

海は心を開放してくれる。

寂しさもみんな受け止めてくれる

こっちに来てからも

何かあるたび、ここに来てた」


実麗は遠い目で地平線を見た。


白くキラキラ光る波間が

山形の海を思い出させた。