漆黒の闇の中を

アクセルを踏み込み

環八から第3京浜へ入り

車も疎らな道をひたすら走った。


葵は緊張から疲れ果てたのか

血液を提供したばかりの体を

シートに横たえ眠り込んだ。


空は白みはじめていた。

窓を開けると

心地よい空気を含んだ風が

頬を撫でてゆく。


インターを下り

国道に入った時

葵が目を覚ました。


「ここは、どこ・・・?」


「海よ。もうすぐ着くわ」


懐かしい海の匂いがしてきた。