同じ病棟の中で

長い間お互いの存在を知らずに

屈折した人生を歩んできた

異母兄弟が会う日が

もう直前に迫っていた。


大人達の色んな事情で

会う事を許されなかった二人の

人生が変わる時でもあった。


山形で祖母と暮らしてきた光、

東京で叔父に育てられた葵、


こうしてこの二人の

解けていた糸は結ばれた。


どんなに切ろうとしても

切れないこの繋がりは

憎しみと愛しさを併せ持つ

まさに兄と弟の血の証であった。


間宮はつぶやいた。

<とうとう、この日が来たか・・>


間宮にとっても叶野にとっても

偶然と言い切れない長い日々の

重い荷物を下ろす日でもあった。