叶野は行き先を告げた。


「近くの警察署に行ってくれ。」


「親父さん、何を?」


「黙ってろ!

男のケジメってもんがあるやろ?

俺は十分裏人生を歩いてきた。

ちょっとここらで休養する。

後は、園田、お前に任せる。

留守中、葵を頼むぞ。

一つくらい親らしい事を

させてくれや!」


園田にはその意味がわかった。


この親父のそういう男気に惚れて

若い俺を拾ってくれた恩を忘れず

ここまで付いてきた。


園田は間宮と叶野の男の

信頼を熟知していた。


光と葵二人の事を知る

唯一の腹心だった。


園田は黙って警察に車を向けた。