「覚えているかな・・?

営業の仕事がまだ軌道に

のらなかった頃

俺はもう一つ仕事を持っていた。


毎晩帰りが遅かっただろう?


不動産の営業と言っていたが

実は金融の仕事にも

手をだしていたんだ。


その時ある男に出会い

意気投合した。


それが叶野だ。


そいつの兄、つまり

叶野誠也が光の父親だろう?」


美恵子は静かに答えた。


「はい、そうです。

貴方は最初からそれを・・?」


「いや、彼が偶然兄貴の子を

引き取ってから、知ったんだ

つまり誠也さんが死んでから・・」