「俺のやったことは

これから実麗を幸せにすることで

償ってゆくつもりです。

それで許していただけるとは

思いませんが・・・

俺を信じて彼女を託してください」


「ああ、君には負けたよ。

君にそのお腹の子の父親に

なる覚悟があるのか?と

聞かれて正直答えに窮した。

君の覚悟は素晴らしい。

それが彼女を動かしたんだ。

敬服するよ。」


「ありがとうございます。

すべて勝算のない賭けでしたが

俺が何よりも大切なものに

気づけたのは苗場さんの

おかげですから

このご恩は生涯忘れません。」


「いやいや、俺のことなど

早く忘れて幸せになれ!

一つだけ置き土産に言っておく

俺は実麗とは結婚前なので

避妊をしていた。

お腹の子は君の子だと思う。

自信を持って育ててゆけ!」


男同士にしかわからない

不思議な信頼だった。


二人は固く握手を交わした。