僕らは自己紹介もせず

ただ犬のことだけを話し

波打ち際でコロと遊んだ。

コロはよく懐く柴犬だった。


それから、僕らは

約束をするわけでもなく

会えばその海のその辺りで

時々コロと遊んだ。


僕がいる日は

嬉しそうに駆けてきた。


いつもその子の膝には

擦り傷があった。


母さんが来るまでと言ったのに

いつもその子は一人で帰って行った。


僕達は名前も知らない友達だった。

その子は自分をみいと呼び

僕はみいとコロと覚えていた。