祖母は一人っ子の光を

可愛がってくれたが

母に甘えたくて

甘えられなかった幼い頃の

記憶は

雄雄しい日本海の波と

橙と紫に染まる日没と


いつもいない両親に対する

寂しさと反発、

そして母のか弱さと

祖母の逞しい優しさと・・・・


色んなもので形作られている。


それは、さながら

光の性格を真っ二つに分ける

クレパスの色のようだった。


光はいつも祖母のホテルから

数歩の砂浜で

祖母の帰りを待ちながら

日本海に沈む夕日を見ている

一風変わった少年だった。