ヒカルは慌てて

亜美の手にタクシー代を

握らせた。


「マジで・・・ごめん。

気をつけて帰れよ!」


そして実麗の病室に向かった。


そっとドアをひくと

薄紫のカーテンが揺れて

実麗の体が見えた。


ヒカルは零れそうになる

感情をゆっくりと抑えた。


歓迎されない自分の立場を

かみ締めながらベッドに近づいた。


心は不思議と穏やかだった。