母は息子を窓に立たせて

「見てごらん。

私はね、

ここから見える紫陽花が

とても好きなのよ。

光は男の子だけど・・・

よく紫陽花の花を

見に連れて行ったから・・・

覚えてる・・?」


小さい頃、母に連れられて

行った公園の紫陽花の紫を

微かに思い出した。


母の顔は月明かりに照らされて

少女のように幼く白く

浮かび上がり、美しく

まるで紫陽花のような人だ・・

と光は思った。

母は優しく微笑んで

光の手を取った。