その頃、ヒカルは

薄暗い病院の廊下にいた。


母の容態がこの所

あまり良くいのだ。


こんな時も親父は

来てやれないのか・・・


子供の頃から仕事ばかりで

家庭を顧みない父親を

心の何処かで憎んでいた。


ヒカルは誰にも見せた事のない

涙を飲み込んで

母の前で泣かないように

無理やり笑顔を作った。


「母さん、俺が一人前に

なるまで待っててよ。」


母を失いたくない・・・!


堪えた涙にそう願い

病室に向かった。