その夜遅く苗場が来た。

「実麗、寂しかったかい?

やっと帰ってこれた。

また飛ばなきゃいけないが

今日部長から

少し日本にいるようにと

言われたから・・・

忙しいけど会えなくはないよ

体調は大丈夫か・・?」


苗場の優しさに

身を切られる思いがした。


「結婚式は落ち着いてからで

いいけど、今度は付いてきて

くれるね?

アパートも大分片付いたじゃない?」


絶対に聞こうと思っていた

亜美とのことを

言い出せない。

それは自分の罪悪感。

この人に付いてゆきたい。

でもすべてを暴露する勇気が

実麗にはなかった。