詩歌帳

Ⅰ・踊り子

断末魔の叫び声
その音を伴奏に
今宵 私は踊りましょう
観客は月 静寂を望むモノよ


漂う風に薫る紅(ｱｶ)
生と死を纏った空気は
私を酔わせることでしょう


さあ、アナタも手を取って？
ラスト・ダンスを奏でましょう

阿鼻叫喚の地獄絵図
蠅の羽音を伴奏に
今宵 私は狂いましょう
観客は死人(ｼﾋﾞﾄ) 静寂に包まれて


流れる水は汚濁して
血と肉は混じりあい
それは甘美な毒となる


もう、動くものはない
ＢＧＭも止みました

風がそよぐ夜の中
広がるは 殺戮の後
今宵 多くが死に絶えた
観客はただ 見詰めるばかり


死の薫りに身をやつし
踊り子は 一礼を
今宵 私は演じ切る
死(ﾀﾅﾄｽ)の中 舞い踊るモノを


次の舞台は何処(ｲｽﾞｺ)です？

Ⅱ・アイシテイマス

どれだけアイを叫んでも
アナタは還ってこないでしょう
それなら私のこの命
悪魔に捧げてみましょうか


ゆっくりと首を傾げるアナタ
私は必死に名を呼んで
それでもアナタは眼を閉じた
涙は底をつきません


置いて逝かないで
私とアナタは
共に生きてゆくのでしょう？

どれだけその名を叫んでも
アナタは旅に出るのでしょう
それなら私のこの想い
何処に渡せばいいですか


白の着物を纏ったアナタ
私は虚空を見渡して
現実から眼を背けます
涙はとうに涸れました

逝ってしまうの
私とアナタは
共に生きてくはずでしょう？

どれほどアナタを焦がれたか
アナタは私をどう見てた？
もしも私をアイシテイルなら
私もアイし続けます


もう迷わない
私とアナタが
共に歩むことはない


それでも私は
この想い この命
アナタだけに捧げます


どんなに過去を望んでも
アナタは戻りはしないでしょう
それなら私はこの心
内に秘めておきましょう