「 保健室、そっちじゃ無いけど? 」




腕を引っ張られ、後ろを振り向いた。

甘い香りと、いつもの優しい声。


すぐ、気付いた。




「 …………先輩っ 」




多分まだ、怒ってるんだろうけど。

別に、たまたま呼び止めたのかもしれないけど。


先輩の声聞いたら、すごく安心した。

って、泣いてる場合じゃ無いんだけど。




「 泣いてる? 」

「 ……先輩、私先輩に…話したい事が…たくさんあるんですけどっ 」

「 ははっ、梨和ちゃん顔泥だらけだよ 」




先輩は笑いながら、私の顔をタオルで拭いた。