ゆりさん
どうしょうって
顔してる
本当に
ゆりさんは
いい人だな



「いいんです
あの頃は

すごく
弱くて
死んじゃいそう
でしたけど
支えて
くれた人がいて
ほんと…」


「梨乃ちゃんっ」



ヤバい
勝手に
涙が…



最初は
驚いてた
ゆりさんも
ヨシヨシって
泣いてる私を
黙って
なでてくれた


「ゆりさんっ…
ごめんなさいっ」


「いいの
いいの
泣きたいときは
泣けばいい
梨乃ちゃんは
きっと
その人の事が
好きなんだね」


「えっ?
そう見えますか?」



「うん
本当の気持ち
わからないで
いるんでしょ?
大事なのは
自分の心に
正直に
なること
だと思うよ
周りは
関係ない」



数日後

いよいよ
逆プロポーズの日


シフトは
私と
さとしさん


「さとしさん
ゆりさんとは
結婚とか
考えてるんですか」


それとなく
聞いてみた


「なんだよ
いきなり」


「卒業したら
どうするのかなって」


「まぁ
いずれは
ゆりと
結婚するけど
まだ
ゆりも若いし
俺なんかと
結婚して
くれるかどうか」


まぁー
なんとも
素敵な
カップル


お互いに
謙遜しちゃって


「なんで
そんな事…
梨乃ちゃん
結婚したいとか?」


「違いますけど…
ちょっと
聞いても
いいですか?」


「なんでも聞いて
彼女はいるから
つき合えないよ」


ほんとに
この人は!



「知ってます!」




「もし
子持ちの人が
好きって
言ってきたら
どうします?」


「子持ちの人ね
まぁー
俺は
子持ちとか
そんなのは
関係ないよ
大事なのは
当人同士の
気持ちだろ」



「大事なのは
当人同士の
気持ちか…」

なんか
胸に響くな


「どうした
相談のるぞ!」


「私の事は
いいですから
ゆりさんの事だけ
考えて下さい」


「こわい
こわい
やっぱ
ゆりと
梨乃ちゃんには
かなわん」


そして
上がり際
ゆりさんが
やってきた


私は
にやつきたいのを
我慢して
普通に
帰った

ご飯を
食べて
優斗と
遊びながら
ゆりさんからの
連絡を待った




8時頃…


逆プロポーズが
成功したと
ゆりさんから
電話がきた



「ゆりさん
おめでとう
幸せに
なって下さい
なんか
あったら
私が
さとしさんを
ぶっ飛ばし
ますから
安静に(笑)」



「(笑)ありがとう
梨乃ちゃんも
幸せにならなきゃ」




「……
私は
今でも
幸せですよ」


「ダメだよ
自分の
気持ちに
正直に
ならなきゃ」



「………
そうですかね」


光輝くんとは
あれから

本当に
何の
連絡もない


最近は
ますます
光輝くんの事
考えるように
なった


光輝くんを
好きだった
あの頃
みたいに
胸が
しめつけられるの



あの頃と
違うのは
真由美を
気にしなくて
いいけど
私に
子供が
いるという事




純…

ごめんね

私は
純がいるのに
光輝くんを
好きになった
みたい



純の事は
忘れて
ないからね
純の
お墓で
いっぱい泣いた


純…


辛いよ


あなたが
生きていて
くれたら

私の気持ちが
再び
光輝くんに
いくことは
なかった
かもしれない


「梨乃っ
やっぱり
ここにいた
電話したのに
でないから…」


「ごめん…」


真由美は
たまに
私が
ここに
きてるから
連絡
とれないときは
いつも
ここに
探しにくるの


「なにー
泣いてたの」


「うん…
私は
光輝くんの事
好きみたいなの
だから
純に
謝ってたの」



「梨乃
もう
いいんじゃない
2年だよ
梨乃だって
まだ18才だよ」



「そうかな」


「うん…
私も最近は
光輝くんと
あんま
会わないんだよね
学校
終わってからも
さっさと
帰ってる
みたいだし」



「そう…
いいの
気にしないで」


この
気持ちは
胸に
しまっておくの


そうすれば
誰も
傷付かない


だから
忘れるの


そう
決めてから
仕事が
休みの時は
純のお墓参りに
行って
優斗の事を
話したり


真由美と
はっちゃけたり
ゆりさんや
さとしさんにも
支えてもらって
なんとか
気持ちが
落ち着いたの


そんな日々を
バタバタと
過ごして

早くも
半年がたった


来月は
真由美や
光輝くんの
卒業式だ



そんな中
進学すると
言っていた
光輝くんが
就職すると
真由美から
電話がきたの


光輝くんは
入学した時
さとしさんと
同じ大学に進み
学校の
先生になると
言っていたのに…


就職先は
北海道らしい


それを
電話で
聞いた時
涙が
こぼれた



北海道なんて
すぐ行ける
近さじゃない



もう
偶然にも
会えないじゃん


会えなく
なるなんて
考えて
なかったから
ショックだった


わたし
全然
忘れられてない



いよいよ
明日は
卒業式


私は
光輝くんの
北海道行きを
聞いてから
全然
落ち着かなかった


「梨乃
明日は
卒業式が
終わったら
バスケ部
メンバーで
集まるから
絶対きてね」



「…わかった」



真由美から
誘われた時
気乗り
しなかったけど



最後だし
明日は
光輝くんが
出発の日で
平常心で
いられる
自信がない

だから
気を
紛らす為にも
行くことにした




その夜は
優斗を
寝かしつけた後

光輝くんとの
出会いから
今までの事を
思い返してた

短い期間
だったのに
私自信も
いろいろ
あった…


辛いことが
多かったけど
嬉しいことの
度合いは
すごく
大きかった






明日
光輝くんは
行ってしまう…


そう
思うと
いつになく
胸が
締め付けられる


ふと
頭の中に


―素直にならなきゃ―


ゆりさんの
言葉と共に

逆プロポーズ

その言葉が
浮かんだ



もう
会えなくなって
後悔したくない


気持ちを
伝えるだけ…

それだけで
いいの


私の中で
バリアが
砕け散った様に
気持ちが
飛び出してきた



純…


私は
空にむかって
純に
話しかけた


純…
ごめんね
いつも
謝って
ばかりだね
これで
最後に
するから
光輝くんに
思いを
つたえるね
最後の
お願いだよ
許してね


空から
純が
応援して
くれている
みたいにも
みえた