連れていかれたのは
寝室


「うそっ…」


梨乃は
言葉をなくした


ベッドに
誰か寝ている
ただ
寝ている
だけじゃない

ゆっくり
近づいて


白い布を
とった


そこには
青白い顔をした
純が
寝かされていた


「いやーっ
純…」


私は
純の手を触って
泣きくずれた


純の手は
氷の様に
冷たい


その手を
ずっと
握りしめ
狂ったように
泣いた


おばさんが
梨乃の肩を
抱いて


リビングに
連れていった


「梨乃ちゃん
私はね
純を
中学生の
頃から
育てた
施設の母よ」


「………」


「梨乃ちゃん」


そう言って
お母さんの様に
抱きしめてくれた