「あなたたちが主を選び、主に仕えるということの証人は、あなたたち自身である(ヨシュア記)」

 モズは、ケインの土地を目前にして亡くなった。その後、祖母アンも「主」のもとへ召された。私は、松葉杖の夫シュアを介護している。五番目の妻だ。二人とも年老いた。

 モズはレレ族の子孫だ。モズの息子、いやモズの子孫たちは、神官や司祭者たちの道を歩んだ。モズの息子は、子供たちのために「寺子屋」を開設した。

 農耕の合間をみて、男性たちは授業を受けていた。パピルスにヘライ文字で、ラエル人の歴史を書き綴った。正確に書写した。それは、「聖書」と呼ばれた。

 寺子屋では、男性のみが教育を受けていた。女性には、学問は必要がないと言われ授業は受けさせてもらえなかった。

教科書も論理的で政治・軍事・科学的、専門用語が多くて難解だ。分析力のない女性には、理解しがたい教科内容だ。私も理解できなかった。

 体力も知性も教養もない、ましてや文字書きもできない女性に、教えるだけ無駄だと言われた。女性の教育が行き届かないので、女性の先生すら存在しない。

女性の医者や科学者、政治家もいない。これでは、いつまでたっても女性には、知性と教養は身につかない。

 炊事洗濯家事掃除は、母親から教われば良い。ご主人様のパンツや靴下を洗うのに、学校など必要ない。

女性は、男性たちの前で股を開けばよい。女性に必要な学問は、「性的快楽学」だけだと男性たちは豪語している。風俗的な学問を学べば、それで良かったとされた。

「男尊女卑(男は尊く偉い、女は卑しく厚かましい)」。納得いくようで納得したくないが、反対に「男逸女労」という言葉もある。

男は気楽で、女はよく働く。シュアも偉業を残してはいるが、私生活になると「飲む・打つ・買う」とだらしなく、私は何度手を挙げたことだろうか。妻が亭主をコントロールしないと、家庭は崩壊してしまう。