「日よとどまれ、ギブオンの上に。月よとどまれ、アヤロンの谷に(ヨシュア記)」

 シュアたちは、ギブ人の土地に陣営を張っていた。ギブ人はシュアの戦の恐ろしさを知り、素直に服従した。

シュアはそこを拠点として、アモ人の土地を攻め続けた。幸運にもアモ人の頭上にヒョウが降り続き、彼らは全滅してしまった。シュアたちは勝ち誇った。そのヒョウは、天変地異の前触れでもあった。

 ある日、太陽がギブ人の上で一日中動かなくなった。反対側のアヤの谷では、月が動かない。太陽も月も、天の上でとどまったのだ。

地球の地軸に異変が発生したようだ。地球のどこかに、「巨大な隕石」が落下したのかもしれない。

 地球の自転が、逆回転したようだ。地球は左から右へと回っている。だからこそ、太陽は東から昇り、西へと沈んで行くのだ。逆回転するということはつまり、それは太陽が西から東へと回ることになる。

 地球の重力が少し強まり、月が遠ざかった。月は緩やかではあるが、毎年四センチほど地球から離れている。この時だけ、月は一日で一センチ以上も遠ざかったかもしれない。

 少なくとも、地球が誕生してから、何度か磁極が逆転した時代があった。「ポールシフト」、「ポールワンダリング」といわれる現象だ。

天が止まった時間は、短かった。もしこれが一カ月、数十年、数百年単位で自転が止まれば、人類は死滅していたかもしれない。