この周辺は地中海に近く、イラン・ペルシャ湾一帯は三つのプレートが合流していた。ユーラシアプレート、インド・オーストラリアプレート、そしてアラビアプレートである。つまりこの周辺は、地震の巣窟ともいえるのだ。

 この大地震に便乗し、今ならトリコの町を襲撃できる。ラッパが吹かれた。シュアたちは馬を走らせて、トリコの町に向かった。

住人たちは予想外の攻撃で、慌てた。ラッパの旋律が原因であろうか。面白いほどに、もろくもトリコの家の壁が崩れていく。

地震だけでも悲惨な状態なのに、敵に襲撃されてはひとたまりもない。結果、シュアたちは勝利を治めた。

 周辺の民族たちは、ラエル人を恐れた。シュアの戦いに、「主」がそばにいるとう噂が流布された。まさに、「主はここにある」である。

 だが、時に苦戦を強いられることもあった。特に仲間の裏切りには、閉口した。他民族から奪い取った財宝を、勝手に流用する悪しき心の持ち主によって、「主」いや、神官たちは怒っていたようだ。

犯人はユダ族のアスンだ。シュアたちは、アスンとその家族をアコルの谷で処刑するのであった。