毎年この時期になると、渡り鳥によるインフルエンザ(流行性感冒)が流行した。しかし、今回は特に重症だった。

羊や牛などの家畜を媒介としたウイルスが、万延していた。その家畜たちもまた、疫病に倒れた。

 エジプト人たちの中で、特に免疫力の弱い老人や子供たちが、インフルエンザに襲われた。

それはラムセム二世と王妃ネフェルティティの長男も、病に伏せて亡くなった。彼らは途方に暮れた。

 そのウイルスの発生源は、どこなのか。モズはエジプトに入る前から、軽いインフルエンザに冒されていた。

モズは、せき込みながら神殿の中や町中を歩き回り、そのウイルスをまき散らしていたのだ。モズは「渡り鳥が悪魔を呼び寄せた」と語ったが、実は自分が病原菌の発端だった。故意に、ウイルスを広めていたようだ。

 ラエル人は、先祖伝来の漢方薬や精進料理(肉類を使用しない、野菜を主体にした食事)を食べていたので、免疫が高まっていた。

民たちは「生活習慣病祭り」を実施したことにより、「主」の奇跡によって奇病から救われたのだと信じた。

 ラムセス二世は息子の死を悼んだ。モズの崇拝する「主」に負けを認め、ラエルの民たちを解放させた。

ラエル人は、家財道具を一切合切を馬車に乗せ、エジプトの町を離れた。モズは、祖先ゼフの遺骨を骨壼に入れて、ケインの土地を目指して旅立つのであった。

「神は、必ずあなたたちを顧みられる。私の骨をここから一緒に携えて上るように(創世記)」