海岸に転がっている流木から作った灰は、特に品質に優れていた。「天然ソーダ」である。また海藻からも灰が作られた。

セッケンやガラスの製造に用いられ、カリウム(K)を多く含むため、肥料の原料とされた。

 さらに化学が進むと、「苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)」が作られた。通常ソーダとは「ソーダ灰(炭酸ナトリウム)」のことを言う。

それが「脂肪」と化学反応を起こすと、「セッケン(高級脂肪酸のナトリウム塩)」が作られる。

 脂肪は、リパーゼによって「脂肪酸」と「グリセリン(三価アルコール)」に分解され腸管から吸収される。エネルギー源としては、不可欠な栄養素である。

 当初、「グリセリン」は捨てられていたが、これから大変な化学物質が得られた。国王たちは、軍備を増強し他の大陸を支配する意欲に駆られた。「爆薬」が発明されたのだ。

 このグリセリンから、今度は「狭心症(冠状動脈の痙攣などにより、心臓への血流が妨げられて起こる激烈な発作)」の治療薬が作られた。

「ニトログリセリン」と呼ばれた。脂肪からセッケン、グリセリン、爆薬そして心臓病の薬までもが作られた。「化学」とは不思議な学問である。

「水兵リーベ僕の船、七曲りシップスクラークか」