工具が発達した。木材で作られたスコップ、クワなどが普及した。数年も経つと、地中から鉱石が発見された。金(Au)・銀(Ag)・銅(Cu)・スズ(Sn)・鉛(Pb)・水銀(Hg)・鉄(Fe)などである。

これにより、材質が劇的に変化した。動物の骨から石へ、砂利からセメント、土から陶器やレンガ、木から合板、そして金属へと進んだ。 

 鉱山の掘削技術は、飛躍的に進歩した。その後、砂で鋳型を型取り、そこにドロドロに溶けた熱い鉱石を流し込むと、堅い金属の成型物が作られた。銅とスズの合金から、青銅(ブロンズ)が作られた。

 「鉄」も作られたが、当時の技術では成型するのに困難があった。鉄は、銅よりも融点が五00度以上も高く、量産には適さなかった。鉄の登場は、まだまだ遠い先の話だった。ちなみに鉄の融点は、一五三五度で溶け始め、二七五四度で気体となる。

 ところが祖先たちの知能、技術力は日進月歩だった。製鉄技術の発展は、すこぶる早かった。

赤鉄鉱・磁鉄鉱などを、コークス(石炭を高温で乾留し揮発分を除いた灰黒色の固体)・石灰石とともに溶鉱炉に入れ、熱風を吹き込むことで「鉄」を作り出した。

 さらに永遠に錆ない鉄、「オリハルコン」が製造された。もっとも優れ鍛造・精製技術を誇った。純度、九十九.九九九九%。

しかしながら、その密度・質量は高く、持つには重すぎた。錆とは、金属が酸素・水・塩類の結合によって生じる単純な化学反応だ。祖先たちは、錆を克服したようだ。