これらの武器の発達により、祖先たちは、他人の領土を支配するようになっていった。一つの部族が勝ち進み、敗れた部族を従属させ配下に置いていく。

長い年月をかけて領土は拡大され、島を支配することで一つの国家として統治された。戦国時代も終わり、安泰で平和な暮らしが続いた。しかし、その犠牲者は甚大だ。

 一人の国王が支配することで、こんな小さな島国でも、部族間同士の争いがなくなるようになった。けれども我々民族は、基本的には争いごとを好まない。血を流すだけの価値が、この島に何の意味があるのであろうか。

「汝、隣人を殺すことなかれ。隣人を愛せよ(出エジプト記)」

「友人なくとも生きていけるが、隣人なくして生きてはゆけぬ(フラー)」

 エルの数代目の子孫が、ウサギを追っていた。相棒の狩猟犬が追いつめると、ウサギはある洞穴に逃げ込んだ。

その洞穴の中で、エルの子孫は、何やら「黒い石」を見つけた。もう遅いので子孫は、洞穴で一夜を明かすことにした。赤々と燃えたぎる焚き火の中に、その石を放り投げたところ、火はさらに燃え栄えた。

 それ以来、「燃える黒い石」が採掘されるようになり、強大な火力というものを手に入れることができた。明かりが灯され、食生活や暖房道具としては、欠かせない存在となった。今ではそれを、「石炭」と呼んでいる。

 人々は木材を蒸気でいぶすと、曲がることを知った。それから家具を工作した。車輪を作ると馬車ができた。荷物を運ぶ、一輪車もできた。