祖先たちは、北の星を「こと座のベガ」、南の星は「オリオン座」を宇宙の中心として称えた。特にオリオン座に関しては、三つ星の配列に合わせて、小さな正四角錐の三つの石の建造物を作った。

 外部は石灰岩、内部には花崗岩でできた建造物を、東西南北に正確に配置して建てた。花崗岩には、微弱ながらも「磁力」を発しているらしい。その建造物は、海を隔てた、異国の大地に建てられた。「ピラミッド」と呼ばれた。

 エルの子孫と、その生徒たちにより、科学が飛躍的に発達した。小麦粉でこねておいたパンを一晩置いておくと、ふっくらとなぜか膨れていた。それを焼くとまた香ばしかった。

 ワラに包んでいた豆が腐敗した。翌日には臭くて、ネバネバして食べられたものではなかった。けれども、一部の勇気ある人には好評だった。腐った食材でも、美味だった。

 完熟したブドウの実が、地面に落ちていた。それを拾って食べた祖先が、不思議な快楽を覚えたことから、「ほろ酔い水」または「秘薬の水」と呼んだ。

 大麦の種子を発芽させ、発酵させると「泡たつ黒い水」ができた。発泡性があって、のどごしがシャキッとしていて、飲み心地が壮快であった。冷えた土室に保管すると、さらに味わいある飲み物となった。

 革の袋に入れた牛乳を一晩おいていたら、ほのかに酸っぱくて、トロミのある飲み物に変わっていた。腸が、すこぶる良好になったような気がした。

 これらは、「主」が与えた食べ物や飲み物だと思った。けれども研究を重ねて行くと、科学の発達により、それらの原因が次々と解明されていった。それは腐敗と発酵をもたらす、「微生物」が原因だと考えられるようになった。

 木の棒、ヤリ、石オノ、動物の骨が当時の武器だった。その後、ブーメラン、弓矢、吹き矢等の発明により、変化が起きた。

 蛇の毒液を採取することで、「毒矢」を開発した。さらに研究が進むと、その蛇毒から精製された解毒剤(無毒にすること)、「抗ヘビ毒血清」が作られた。毒が毒を中和するという、不思議な現象である。