この二つの衛星が、将来人類が居住した場合、どのような影響を及ぼすのかは不明である。火星の海面に、どんな潮汐作用が生ずるのかは想像できない。月の影響により干満の落差が激しいと、渦巻きや竜巻が数多く発生することであろう。

 生態系にも影響を与え、いかなる自然現象が巻き起こるのか、推測の領域をはるかに越える。もしかすると、何ら影響がないかもしれない。

 現在、火星の地表では「モビルスーツ」なくして闊歩できない。科学技術の進歩によって、重量を半分の五0キロメートルまで軽量化した。

放射線を大量に浴びれば、被爆する。紫外線量は多大だ。マイナス五八度の世界では、即座に凍死する。肌を露出させれば、低い大気圧のために眼球や舌や内臓は飛び出してしまう。

 二酸化炭素の大気では、当然呼吸はできない。地球の大気には、窒素約八0%、酸素約二0%を含有している。この組成成分の比率によって、生命は呼吸し存命できる。

 ちなみに「スキューバダイビング」を楽しむ人は、潜水病または減圧症に気をつけなければならない。娯楽上では、水深三0メートルまでが限界だ。

海底では、水圧により肺や血管内の空気が圧縮される。水深の深い場所(高水圧)から急激に水面(常圧)へ上がると、血液中の窒素が気泡となって細い血管をふさぐことがある。

 急激な浮上を避けるには、口から吐く泡よりも先に浮上しないことだ。空気を吐き続けなければ、肺が風船のように膨れて破裂する。プールでも、まれに潜水病になることがある。