酸素を「嫌う」細菌を散布した。嫌気性細菌だ。火山地帯から噴出する硫化水素(H2S)を好むような細菌を、地表に撒くのだ。

これらの細菌は、成層圏でも深海の火山地帯でも月面上でも生存できるほどの生命体だ。もしかすると、それらの微生物が窒素(N)を生成してくれるかもしれない。

 酸素を嫌う細菌の次は、酸素を「好む」細菌を増殖させた。好気性細菌だ。光合成を行う細菌(紅色無硫黄細菌、紅色硫黄細菌、緑色硫黄細菌など)を火星で繁殖させた。ユダ人のバイオテクノロジー(生物工学)の研究が、急務とされた。

 火星の大きさは、赤道付近で直系六七九四キロメートル、それでも地球の半分くらいだ。一年の公転周期は六六九日にもなる。火星の自転周期も地球と同じく、二四時間三九分三五秒で回転している。

 赤道での傾斜角は二五.一九度。地球(二三.四四度)とほぼ同じであり、つまり四季があるということだ。

ただし砂嵐(ダストストーム)は年に、六0日間も続く。火星に海ができれば、台風が吹き荒れるであろう。

 重力は三.七三(m/sec2)、地球の八分の三だ。この重力では、人の筋肉活動の低下、骨の代謝率の低下、赤血球量の低下、体重の減少にもつながり人体に悪影響を与えかねない。筋力が衰え、カルシウム(Ca)が不足する。

運動能力の低下など、あらゆる面で人体をもろくさせる。動物や植物などにも、生命維持活動に悪影響がでるはずだ。