非道ぶりが続くハブ国王の行為に怒りを覚えたリヤは、ラエルの首都シムに向かった。占星術と気象学の分析により、向こう三年間は干ばつの被害に合うだろうと、ハブ国王に面会し警告を発した。

けれども一笑され、相手にされなかった。その予言は、ラエル王国に食料が無くなることを意味していた。ゼフ時代の飢饉と同じことが、起こりつつある。

 リヤは部落に戻った。畑では、山の斜面に段々畑を作っていた。地下水が上から下へと流れるため、作物を育てるには最適な方法だった。

また、二毛作・三毛作を実践していた。一つの作物の収穫が終わった後、季節に合わせて別の作物を栽培する。夏には水稲、秋から春にかけては小麦などを作付けしていた。

 リヤは、毎年冬に備えて食料の貯蔵をあらかじめ蓄えていた。温度が一定に保たれる土室を造った。

そこに野菜や肉類を保存した。野生動物たちから食料を守るために、高倉式の倉庫も建てた。乾燥した穀物、小麦などを保管した。野菜類は漬物にもした。

冬は直接雪の中に野菜を保存させる雪室も造った。風穴で氷室を造り、「氷」を夏まで貯蔵させていた。

 小川には、アユやイワナなどの魚が獲れた。川魚をいぶしては燻製品を作り、また干物にもした。

きたるべき時に備えて、保存食に努めた。大きなタルには、雨水を貯めている。麻ヒモをクモノ巣状に作り、それを高台に立て掛けていた。朝露や霧などの水滴が付着し、それを採取・貯水することで水を確保していた。

 リヤの予言通り、日照りが続いた。作物は枯れ、雨は全く降らなくなった。川の水位も下がり、川底が見え始めた。

近隣の町では、餓死する者が続出した。それでもハブ国王は、農民たちから強制的に年貢を取り立てた。