「直が元気じゃないと俺も元気じゃない。直が心から笑ってくれないと俺、心配なんだよ」


先生は大事なものをぎゅっと抱きしめるように私を抱きしめてくれた。



大事にされているって実感できる。



先生は、本当に私を大事に大事に……愛してくれているんだ。




「ありがとう。私は先生にどれだけ支えられてるかわからないよ。ごめんね。いつも支えてもらってばかりで」



「ばかだな。俺はお前を支えてるつもりはない。俺が支えられてんだよ!」




窓の外から夏らしい風が吹き込む。



揺れたカーテンが先生の髪に触れた。


先生の前髪がピョンと立つ。


私は先生の前髪に手を伸ばし、ぐちゃぐちゃって乱してみる。


「こら~、直。俺に勝てると思ってる?」



先生は私の前髪の分け目を変えて、満足そうな顔をした。



「先生やめて~!前髪ぐちゃぐちゃ」


「どんな直も好きだからいいの!!」