「お前、ばかだな。中田はお前のしっかりした部分が好きだと思う?あんなにバカばっかりしてきたお前を受け入れてくれたんだろ?そのままの情けない自分をそのまま見せればいいんじゃないのかな。それで離れていくなら、それまでの関係だろ。何をかっこつけてんだ?」



気持ちはわかる。


好きな女の前では男はかっこつけたいものだ。





つい最近、俺だって自分のそんな部分に気付いたんだっけ。



いい彼氏とか、いい旦那とか……そんなのは後から振り返って相手から言われればそれでいい。


毎日そんなことを思ってもらおうなんて思っていると疲れるだけだ。




たっくんは、1日でも早く立派な社会人になって、中田から尊敬されたいんだと思う。




「ひとりで頑張る必要ないだろ?未熟で当たり前なんだよ。中田とふたりで一緒に成長していけばいいと思わないか?」



たっくんは、ビールを一気に飲み、もう一杯と店の人に注文した。




「ゆかりは…… こんな俺でもいいのかな」



「そんなお前がいいんじゃないの?」