たっくんは『終わりじゃないよな、俺達』とゆかりに言った。


でも、ゆかりはそれを待っているだけじゃ前に進めないと自分に言い聞かせていた。


『別れる時はみんな寂しいんだよ。だからたっくんの言葉をただ信じて待っていちゃだめ。私も私らしく生きていかなきゃ』




そう言ったゆかりは、もう前を向いているように見えた。





先輩に誘われていたコンパに行こうと思ったゆかりだったけど、店の前で涙が止まらなくなってキャンセルしたんだって。




うん。

だめだよ。


他の人を好きになって、忘れようとするのは無理だから。




私が過去に犯した罪。


先生を忘れる為に、少しだけ先生に似ていたたっくんを好きになろうとした。


でも、無理だった。


どんどん先生を好きになった。




時間が解決してくれるとよく聞くけど、それは本当なんだ。


今のゆかりの心を救ってくれるのは、時間だけだと思う。





「おい、聞いてる?」


突然、真崎君に肩を叩かれた。



「あ、はい!!ごめん……」