「たっくん……」
私は、たっくんを抱きしめた。
たっくんがひとりぼっちみたいな顔するから……
守ってあげたくて、強く抱きしめた。
私がいるよ。
「まだ……言いたいことがいっぱい……あって、言えなかったことがいっぱいで……気が付いたら、タクシーに乗ってた。ゆかりにどうしても会いたくて……」
たっくんは、子供のように声を出して、泣いた。
いつも一緒にいたから。
何をするのも一緒だったから。
家族みたいに仲良しだったから。
やっぱりお別れは寂しいよね。
いきなり他人になるなんて、悲しいよね。
うまく行かなくなったのは、つい最近のこと。
ちょっと前までは、こんなにラブラブでいいのかな?っていうくらいラブラブだったもんね。
辛いね、たっくん。
お別れって本当に辛いものなんだね。
「ゆかり……ひっ ……俺……ゆかりがいてくれたから……ほんとに……」
体の大きいたっくん。
年上のたっくん。
今は、子供のようなたっくん。
「俺、ゆかりがいてくれたから……すっげー幸せだった……よ」
そんな言葉をもらえた私は、幸せ者だね。
たっくんは、最高の彼氏だった。
「私も、たっくんと一緒にいられて幸せだった。すごい楽しかった」
「俺……も…… ごめんな。 いっぱい傷つけて、悲しませて……でも、俺……本気で、ゆかりを幸せにしたいと思って…… 結婚したいって思ってたから」