「どうしてこんな所にいるの?」
「タクシーで来た。ははは。バカだな、俺」
たっくんが笑ってる。
もう二度と会えないかも知れないと思っていたのに、すぐに会えた。
「もう……俺なんかいらないかも知れないけど、最後くらい彼氏らしく送りたい」
手が震えているように感じた。
たっくんの横顔を見た。
「たっくん……?」
たっくんは、歯を食いしばって、泣いていた。
どうして?
たっくんが冷めたんでしょ?
たっくんが私のこと好きじゃなくなったんでしょ?
どうして泣くの?
たっくん、たっくん……
「あれ? おかしいな」
たっくんは、涙を拭いて笑顔を向けた。
笑いながら、目から大粒の涙がこぼれていた。