カンカンカンカン――
踏み切りの音。
失恋くらいで死にたいなんて思わないけど。
この先、どうやって生きていけばいいのかなって思う。
こんな気持ちは初めてだね。
高校生だったら良かったな。
毎日学校へ行けるから、直に会える。
直や依子と走り回って笑っていると、たっくんのこと考えないでいられるかも知れない。
高校生だったらなぁ。
こんな失恋、すぐに笑い話にできるのに。
会社では、考える時間が多すぎる。
昼休みに購買でミルクティー買ったり、廊下を走って先生に怒られたり、休み時間に英語の訳を写し合ったり……
そういう時間が、欲しい。
戻りたい。
高校生に。
じゃないと……私、消えちゃいそうだ。
直、直はもう先生の奥さんだもん。
依子はママだし。
私はひとり。
ひとりぼっち。
たっくんがいないと、私って……何もできないんじゃないかな。