「今は好きじゃないのか?」



『そうかも知れない』




たっくんからそんなセリフ聞きたくなかった。



直の卒業式の日に、高校に忍び込んで中田とラブラブしていたたっくん。


俺と直とは違って、波乱が多いカップルだったけど、かわいいふたりだった。



俺は教師で、直は元生徒で……


だから、たっくんと中田の自由な恋愛はうらやましかった。




俺と直の結婚式も手伝ってくれたじゃないか。

あの時、俺と直は話していたんだ。


中田とたっくんが結婚する時は、俺達が頑張って盛り上げようなって。




いつか結婚すると信じていた。




教師になってから男友達と会う機会も減り、俺の中ではたっくんは教え子のような友達のようなそんな大切な存在だった。




「今だけだよ。仕事に慣れれば、ちゃんと中田のこと大事にできるって」




『俺、ゆかりがいるとだめなのかな。早く結婚したいとか、俺がしっかりしなきゃって思って、無理ばっかりしちゃう。ゆかりに弱い自分を見せらんねぇんだ。会社の同期とか、他の女には弱音吐けるのに……』





俺も直も中田も心配していた。


たっくんの女の問題。




深くは突っ込まなかったが、仲良くしている女の人がいるようだった。


好きでもないし、ときめきもないけど、一緒にいて楽なんだとたっくんは言った。




どうしてやることもできないのか?


別れるべきじゃないけど、俺や直がいくら頑張ってもふたりの問題に入ってはいけない。




たっくんは時間ができたらまた連絡すると言って、電話を切った。




-先生目線END-