直は、俺の背中を洗ってくれた。




「先生は1年目からモテモテだったんだぁ。辛かったんだね、先生。ごめんね。その頃、そばにいてあげられなくて」



「本当だよ。俺は寂しかったんだぞぉ」





あの頃、俺はひとりだった。



当時の彼女には申し訳ないが、一緒にいて心から安らげる女性なんてこの世にいないって思っていた。




「あの時の夢の中の女の人は、直だったのかも知れないな」



「うん!そうだよ。先生、元気なかったから私が夢の中に入ったの」




直は俺の背中を優しく洗い流しながら、無邪気に笑う。



本当にそうだったんじゃないかと思えてくる。


あの頃、もちろん俺は直を知らないし、直も俺を知らない。



でも、俺と直は出逢う運命だった。




だから、本当に出逢うよりも少し早く、夢の中で出会っていたんじゃないかな。




それくらい衝撃的な夢だった。