「愛してるんですね。奥さんのこと。すごいなぁ、新垣先生って」



金森の表情はスッキリしていた。



もう嫉妬とかそういう感情はないように見えた。




「当たり前だろぉ。俺の大事な妻を泣かせたんだから、本当だったら許さないところだけど……かわいい生徒達がお前を許したから俺も水に流すよ」



金森はペコっと頭を下げて、ちょっと困った顔をして笑った。



「余計なお世話かも知れないけど、その景子って子に金森の気持ち話してみた方がいいんじゃないかな。もしかしたら、向こうも何か思っているかも知れないし、いい友達になれる可能性もあると思うよ」



「はい。私も実習が終わったら会いに行こうと思います。あ、もちろん、新垣先生のことを自慢するんじゃないですよ!!」




いつか再会できるかな。


教師、金森先生と。




傷ついた心を抱えた多感な高校生としっかりと向き合う先生に……


なってくれよ。


これだけ俺を困らせただから、きっとなってくれるだろう。


教師に。




「待ってるからな。金森が先生になるのを。金森なら、生徒の悩みを真剣に聞ける教師になれるんじゃないかって今なら思える。何かあれば相談乗るし、俺はいつでもここにいるから」



ジャージに着替えた俺達は、生徒の待つ体育館まで走った。





どうしてだろう。


いろんなことがあったのに、実習が終わってしまうのが少し寂しく感じるよ。




―先生目線END―